リアルタイム解析による混合粉末の結晶相同定

    Application Note B-XRD1121

    はじめに

    X線回折法による結晶相同定は、セラミックス、金属、医薬品といった幅広い産業分野の研究開発や品質管理に利用されています。結晶相同定を行う従来のシステムでは測定と解析のソフトウェアは別々でした。そのため、解析ソフトウェアへの測定データの読み込み、さらにはデータの平滑化やバックグラウンド除去といった前処理が必要な場合もあり、操作が煩雑で、解析結果の確認に時間を要しました。X線分析統合ソフトウェアSmartLab Studio IIの「リアルタイム解析」は、測定途中のデータに対して結晶相候補を自動検索し、結晶相の同定結果と定量分析結果をリアルタイムに表示します。ここでは、corundum(α-Al2O3)、rutile(TiO2)、anatase(TiO2)の3種の混合粉末試料に対して、リアルタイム解析を行いました。

    測定・解析例

    測定中に回折ピークが観測されるたびにピークサーチと自動検索が行われ、結晶相候補が表示されます。複数の結晶相が同定されると、定量分析が行われ、それぞれの結晶相の重量比が算出されます。図1に、2θ = 40˚付近までの測定範囲で解析されたリアルタイム解析の結果を示します。測定中に解析結果を確認できることから、測定途中での測定の続行・中断の判断ができます。表1に示すように、測定終了と同時に得られた解析値は調製値と良好に一致しました。

    混合粉末のリアルタイム解析結果

    図1 2 =40˚付近での混合粉末のリアルタイム解析結果

    表1 混合粉末試料のRIR法による定量分析結果

    結晶相 mass %
    解析値 調製値
    Corundum (α-Al₂O₃) 54.15(18) 52.91
    Rutile (TiO₂) 33.71(18) 34.22
    Anatase (TiO₂) 13.15(8) 12.88

    推奨装置・ソフトウェア

    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE
    • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)

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