高温昇温・特殊ガス雰囲気下における 結晶相変化のその場観察

    Application Note B-XRD1117

    はじめに

    新規材料開発では、目的とする物性を持つ材料を得るために、様々な温度・雰囲気下で評価を行う必要があります。赤外加熱高温装置Reactor-Xは、ヒーター部と分離された耐腐食性の試料室を持つため、水素、アンモニア、水蒸気など各種特殊雰囲気でのX線回折測定が可能です。さらに、2次元検出器を用いた高速測定を行うことで、特殊雰囲気下で加熱した場合の結晶相変化を詳細に観察することができます。

    測定・解析例 

    赤外加熱高温装置Reactor-Xを使用し、Cu粉末の酸化還元反応の挙動を観察しました。1測定約1分の高速X線回折測定を繰り返しながら、試料を室温から800 ˚Cまで大気雰囲気にて50 ˚C/min の昇温レートで加熱し、その後温度を800 ˚Cに保持したまま水素ガス(4%)を導入しました。図1に、観測されたX線回折プロファイルの重ねがきを示します。室温から800℃に昇温(図1左の下→中央)すると、熱膨張によりCuの回折ピークが低角度側にシフトしたのち、回折パターンがCu2Oへ、次いでCuOへと変化し、Cuが酸化されたことが確認されました。水素ガス(4%)を導入(図1左の中央→上)すると、回折パターンがCuOからCu2O、さらにCuへと変化し、Cuが還元されたことがわかりました。図2に、Rietveld法による各測定プロファイルの定量分析結果を示します。加熱および水素ガス導入により、CuとCuOの質量分率が、Cu2Oが混在する状態を経て逆転することが確認されました。

     (左)昇温・水素ガス流入によるX線回折プロファイルの変化 および (右)測定雰囲気

    図1 (左)昇温・水素ガス流入によるX線回折プロファイルの変化 および (右)測定雰囲気

     Rietveld法による定量分析結果

    図2 Rietveld法による定量分析結果

    推奨装置・ソフトウェア

    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab 
    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE
    • 赤外加熱高温装置 Reactor-X
    • ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000

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