2次元回折像を利用した 鉱物粉末中の微量粗大粒子の結晶相同定

    Application Note B-XRD1103

    はじめに

    2次元回折像には結晶粒子の状態が反映され、回折像がライン状に連続していれば粒子が微細であり、スポット状に不連続であれば粒子が粗大であると考えることができます。従来の結晶相同定は2次元回折像から変換した1次元プロファイルのみで行われ、2次元回折像に含まれる粒子の情報は切り捨てられていました。X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio IIでは、1つの測定データを2次元回折像と1次元プロファイルに展開し、これら2つを比較しながら解析を進めます。2次元回折像の視覚的な確認に加え、2次元回折像から結晶粒子の特徴を抽出して結晶相検索に利用することで、結晶相同定を容易に進めることができます。

    測定・解析例

    図1は鉱物粉末の2次元回折像と1次元プロファイルの結晶相同定結果の重ね書きです。2次元回折像にはライン状の回折像とスポット状の回折像とが観測され、粒子の状態が異なる成分が混在することがわかります。

    結晶相同定の結果、ライン状の回折像はmullite、スポット状の回折像はquartzと同定されました。Quartzの1次元プロファイルにおけるピークの強度比は、データベースに収載されている一般的なピークの強度比(棒グラフ)と大きく異なり、中には2θ = 55˚付近の回折ピークのようにほとんど強度が観測されていないピークもありました。このような場合でも、スポット状の2次元回折像の特徴を加味することで、容易に結晶相同定を行うことができました。

    鉱物粉末の2次元回折像と1次元プロファイルの結晶相同定結果  推奨装置とソフトウェア

    図1 鉱物粉末の2次元回折像と1次元プロファイルの結晶相同定結果

    推奨装置とソフトウェア

    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000
    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE + ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-400
    • X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Powder XRDプラグイン)

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