微小部2次元X線回折測定による 超硬チップの結晶相同定
Application Note
B-XRD1044
はじめに
切削工具に用いられる超硬チップは、耐久性向上のために様々なコーティングが施されています。これまでもX線回折によるコーティング層の評価が行われてきましたが、場所による組成や結晶性、配向の違いなどを迅速かつ同時に評価したいという要望もあります。今回使用した光学素子と検出器を用いると短時間で簡便にこれらの評価が可能となります。
測定・解析例
粉末X線回折測定ではライン状のX線光源が用いられますが、光学素子であるCBO-fを使用すると、ライン状のビームを、輝度を落とすことなくポイント状の集光ビームに整形することができます。また、検出器に2次元検出器を用いると、検出効率が向上するとともに、回折強度が弱い微量成分や、配向成分の測定が可能となります。
図1に超硬チップの測定部位観察像を、図2にCBO-fと2次元検出器を用いて得られた超硬チップの2次元回折像を示します。A社製とB社製の超硬チップそれぞれから得られた2次元回折像を2θ角度に対する回折強度に変換し、同定を行った結果、図3に示すようにコーティング相の違いが確認されました。
図1 超硬チップの測定部位観察像
図2 集光光学素子CBO-fとハイブリッド型多次元X線検出器HyPix-3000を用いて得られた2次元回折像
図3 A社製とB社製超硬チップから得られたX線回折パターンと定性分析結果
推奨装置
- 全自動多目的X線回折装置SmartLab + 微小部測定光学ユニットCBO-f
+ ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000