2次元検出器を用いた小角X線散乱法による 天然ゴムの伸長結晶化の観察

    Application Note B-XRD1028

    はじめに 

    高分子やゴムの分子は階層構造をなし、その中にはÅスケールの結晶構造(ミクロ構造)とnmスケールの長周期構造(マクロ構造)が含まれます。加熱・延伸・磁場などの外的要因を変化させながら、結晶構造と長周期構造の両方を解析することで新たな知見が得られます。X線回折法はおもに結晶構造を対象にしていますが、2θが5˚以下の小角領域から長周期構造の周期を解析できます。さらに、2次元検出器を用いることで、材料に対する結晶構造および長周期構造の配向状態も確認できます。ここでは天然ゴムの伸長倍率を変えながら2次元回折像を測定し、ミクロ構造およびマクロ構造の変化を観察しました。

    測定・解析例

    図1に天然ゴムの延伸なし、4倍伸長、5倍伸長、6倍伸長の2次元画像を示します。各図に得られた円の中心部付近が小角領域で、天然ゴムのマクロ構造に由来する散乱が確認されています。各図の外側にはマクロ構造に由来する散乱が確認されています。

    延伸なしの場合は、外側の散乱も中心部の散乱もリング状であることから、ミクロ構造・マクロ構造ともに無配向の状態と考えることができます。一方、4倍伸長時ではマクロ構造(小角領域)で結晶組織が確認され、5倍伸長時ではマクロ構造に加え、ミクロ構造(高角度領域)にも結晶組織が確認されはじめていることがわかります。6倍伸長時はミクロ構造の結晶組織がさらに発達している様子が確認されました。

     天然ゴムの2次元回折像

    図1 天然ゴムの2次元回折像

    推奨装置

    • ナノスケールX線構造評価装置 NANOPIX +ハイブリッド型多次元ピクセル検出器 HyPix-3000

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