X線回折装置による高分子フィルムの結晶方位解析
Application Note
B-XRD1024
はじめに
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのフィルム状高分子材料の特性は、結晶方位の偏りやその度合いと相関があります。これらのフィルム状高分子の分析に、ODF(Crystallite Orientation Distribution Function)解析を利用することで、結晶方位{hkl}<uvw>の偏りやその度合いを精度良く算出することができます。
測定・解析例
市販の保護用ポリプロピレンシートの透過極点測定を行いました(図1)。図1に示す各極点図は、透過法領域のみの測定であるため、= 90°付近の反射法領域の測定結果は欠落しています。
図1の各結果を用いてODF解析を行い、図2に示す結晶方位を算出しました。その算出された結晶方位から作成された完全極点図を図3に示します。従来は、完全極点図を得るためには、透過極点測定と反射極点測定の両方を行い、データを接続する必要がありました。ODF手法の導入により、透過極点測定のみで完全極点図を得ることができ、同時に配向度関数も計算することが可能となりました。
図1 ポリプロピレンシートの透過極点図
図2 結晶方位の決定
図3 再計算極点図(完全極点図)
推奨装置
- 全自動水平型多目的 X 線回折装置 SmartLab +αβ アタッチメント
- X線分析統合ソフトウェア SmartLab Studio II (Texture プラグイン)