電池セルアタッチメントを用いた リチウムイオン電池正極材料の充放電に伴う 構造変化のその場観察

    Application Note B-XRD1009

    はじめに 

    リチウムイオン電池の寿命を延ばすためには充放電過程での状態の制御が重要であると言われています。そのためには、100%充電状態、放電状態の電極構造を観察するだけでは不充分であり、充電深度・放電深度と電極構造の関係をその場観察することが必要になります。しかしながら、封止された電池からいったん材料を取り出してしまうと、材料が大気と反応したり、電極を剥離することにより充放電状態が変化したりするため、材料が別の構造へと変異するおそれがあります。したがって、従来の方法では充放電に伴う物質の変化をX線回折測定により観察することは困難でしたが、電池セルアタッチメントを用いて作成した電池では充放電試験を行いながら同時にX線回折プロファイルを取得することができるため、充放電実験を行った材料に対して、シールの開放や電極の剥離などの加工をせずに、試料の状態変化と充放電特性とを直接関連付けて評価することができます。

     

    測定・解析例

    電池セルアタッチメントを用いて、オリビン型リチウムイオン電池正極材料であるLiFePO4の試験電池を作成し、充放電過程における回折パターンの変化を観察しました。図1に示すように、充電過程(Charge)では、充電量に伴い出発原料であるLiFePO4の回折線強度が減少し、FePO4の回折線が表れている様子から、充電に伴いLiFePO4がFePO4に相変化していることが確認されました。また、放電過程(Discharge)では逆にFePO4がLiFePO4に相変化した様子が確認されました。

    充放電に伴うLiFePO4の相変化

    図1 充放電に伴うLiFePO4の相変化

    試料ご提供 : 兵庫県立大学 中村 龍哉 教授 

    推奨装置

    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab SE
    • 全自動多目的X線回折装置 SmartLab
    • 電池セルアタッチメント
    • 高分解能・高速1次元X線検出器 D/teX Ultra250

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