チョコレートの熱伝導率測定
Application Note
A-TA4012
はじめに
光沢のあるチョコレート一粒を口に入れると、なめらかに溶け、甘く芳醇な香りが広がります。チョコレートの食感の決め手は、油脂成分であるココアバターの結晶にあることが知られており、美味しいチョコレート作りのノウハウは、ココアバターの結晶コントロールのテクニックにあると言われています。このような職人の経験や勘、コツを科学的に分析データ化するこころみは、技術伝承にも大きく寄与することが期待できます。
チョコレートの食感分析に関しては、示差走査熱量計(DSC)が有効となり、融解温度やピーク形状、融解エネルギーから、ココアバター成分の結晶形に関する情報が得られます。※
チョコレートは常温では硬い固体でべたつかず、食べ易く、しかも口に含むと、とろっとした液体になりなめらかな舌触りが感じられます。この口溶け感は、チョコレート自身の熱伝導率にも強く関係しますが、測定時に液状化してしまうと熱伝導率を正しく評価することができません。
TRIDENT熱伝導率測定のMTPS法は、従来法では困難とされているチョコレートの正確な評価に適した迅速な測定法となります。
※ リガク、DSCアプリケーションデータ集
測定・解析例
試料:スイス製同一銘柄の異なる3種類のチョコレート(ダーク、ミルク、ホワイト)
使用装置 : 熱伝導率測定装置TRIDENT MTPSセンサー
チョコレートの熱伝導率測定データチャートを上図にします。チョコレートへの印加温度は、1.2℃であり、しかも、測定時間は1秒以内で熱伝導率を算出できます。
チョコレート表面に長時間また数℃の温度を印加する測定法では、表面が液化してしまうため、熱伝導率の正確な測定は困難である。
推奨装置・推奨ソフトウェア
- 熱伝導率測定装置 TRIDENT