蛇紋岩のH₂OおよびCO₂定量
Application Note
B-TA2029
はじめに
蛇紋岩は光沢のある黒~暗緑色をしており、日本各地に分布している岩石の一種です。岩肌が蛇の皮膚のように見えることから名付けられました。蛇紋岩はカンラン岩が水の影響により変質して出来た岩石で、主に蛇紋石からなります。
谷川岳で採取した蛇紋岩についてTG-DTA/GC-MS測定を行いました。H2OとCO2の定量は標準試料としてシュウ酸カルシウム一水和物を測定し、脱水と脱炭酸のピークを用いてそれぞれの発生量を算出しました。
測定・解析例
谷川岳蛇紋岩約10mgを試料容器に測りとり、He雰囲気で50~1,000℃まで20℃/minで昇温しました。
図1にTG-DTA結果とMSイオンサーモグラムを示します。H2O(m/z18)の発生挙動はTGの減量と相関がみられ、H2Oが主な発生ガスであることがわかります。CO2(m/z44)はH2Oに比べてシグナル強度が小さかった為、10倍に拡大して表示しています。
表1にH2OとCO2の定量結果を示します。H2Oはm/z18のピーク面積値、CO2はm/z44のピーク面積値から算出しました。
図1 TG-DTAとMSイオンサーモグラム(m/z18,44)
表1 谷川岳蛇紋岩のH2OおよびCO2定量結果
蛇紋岩測定 | 試料重量/mg | m/z18total面積/cps・s | H2O発生量/% | m/z44total面積/cps・s | CO2発生量/% | TG total% |
測定結果 | 10.876 | 7.61E+08 | 9.8 | 1.50E+07 | 0.1 | 9.7 |
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122および1ch MS-IF、GC/MS、Thermo Mass Photo
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア