試料観察TG-MS によるニトリル手袋の熱分解

    Application Note B-TA2028

    はじめに

    ニトリル手袋は使い捨ての手袋として医療や介護用、食品加工用などに広く使用されています。ラテックスアレルギー対策として天然ゴム手袋の代替に用いられてきましたが、昨今では医療・食品関連にとどまらず感染予防として飲食店や小売店、家庭でも使用されることが多くなり、ニトリル手袋の需要が急増しています。その性質としては強度が優れているので突き刺しや引っ張りに強く、また耐油性・耐薬品性の他、伸縮性も優れています。
    今回はこのニトリル手袋について発生ガス分析を行いました。

    測定・解析例

    ニトリル手袋を試料容器に入る大きさに切り取り試料観察TG-DTA/GC-MSにて測定しました。He雰囲気で室温~600℃まで20℃/minで昇温しました。
    図1にTG-DTA結果と試料観察画像を示します。試料観察像では300℃過ぎから徐々に変色と収縮が始まり、450℃付近から分解による発泡がみられました。

    図2にTG結果と主に検出したm/zのMSイオンサーモグラムを示します。
    TGでは200℃付近で3%、300~500℃で86%の減量がみられました。

    MS結果から200℃付近では炭化水素鎖の発生ガスが確認できました。これは添加物の一つである軟化剤由来と考えられます。また、300~500℃の主分解時にはニトリルゴムの分解成分ガスが多数発生していることが確認できました。

    TG-DTAと試料観察画像

    図1 TG-DTAと試料観察画像

    TGおよびMSイオンサーモグラム

    図2 TGおよびMSイオンサーモグラム

    182℃でのマススペクトル

    図3 182℃でのマススペクトル

    460℃でのマススペクトル

    図4 460℃でのマススペクトル

     

    推奨装置・推奨ソフトウェア

    • TG-DTA8122/Cおよび1ch MS-IFGC/MS
    • Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア

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