試料観察TG-MS による ペロブスカイト太陽電池材料の加熱挙動評価

    Application Note B-TA2024

    はじめに

    ペロブスカイト太陽電池はその高い発電効率と低コストプロセスの可能性から近年、盛んに研究開発が行われています。ここでは代表的なペロブスカイト結晶増感剤であるヨウ化鉛メチルアンモニウム(MAPbI3、(CH3NH3)PbI3)の加熱挙動を試料観察TG-MSにて調べました。

    測定・解析例

    MAPbI3粉末をHe雰囲気で室温~350℃の範囲で10℃/minにて昇温しました。MSのイオン化には電子イオン化(EI)を使用しました。TG-DTA曲線及び減量前後の観察像を図1に示します。200℃を超えたあたりから吸熱を伴う減量が始まり、減量の前後で試料が黒から赤色に変化しました。減量時に発生しているガスを確認するためにMSシグナルの温度プロファイルを図2に示します。減量時には主にメチルアミン、ヨウ化水素及びヨウ素が発生しています。その他にもアンモニアやヨウ化メチルと推測されるシグナルも検出されました。MAPbI3が分解し、種々のガスが発生し、残渣としてPbI2(赤色)が生成していると考えられます。

    MAPbI3加熱時のTG-DTA曲線と試料観察像

    図1 MAPbI3加熱時のTG-DTA曲線と試料観察像

    MAPbI3加熱時のMSシグナルの温度プロファイル (括弧内は拡大倍率)

    図2 MAPbI3加熱時のMSシグナルの温度プロファイル (括弧内は拡大倍率)

    (試料提供 早稲田大学先進理工学部化学・生命科学科 古川行夫研究室)

    推奨装置・推奨ソフトウェア

    • TG-DTA8122/Cおよび1ch MS-IFGC/MS
    • Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア

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