PEFC電解質膜の加熱変化(ガス分析)
Application Note
B-TA2014
はじめに
固体高分子形燃料電池(PEFC)の電解質層には電解質膜として固体高分子膜(イオン交換膜)が使用されています。今回、PEFCの電解質膜として使用されているパーフルオロスルホン酸ポリマーの熱分解をTG-DTA/GC-MSにて測定し、分解時の発生ガスについて調べました。
測定・解析例
パーフルオロスルホン酸ポリマーをTG-DTA/GC-MSにて測定しました結果を図1に示します。
測定は昇温速度10℃/min、雰囲気はHeにて450℃まで行いました。
図1ではTG曲線及びm/z:18(H2O)、m/z:64(SO2)、m/z:47(CFO)、m/z:50(CF2)、m/z:69(CF3)のイオンサーモグラムをプロットしています。TG結果では200℃までに2.8%の減量が見られます。その後、300℃から350℃にかけて7.8%の減量が見られた後、続けて減量が見られています。
ガス分析のデータであるイオンサーモグラムと併せてみると、200℃までの減量はH2Oによるものであり、300℃~350℃までは主にSO2の発生が確認され、その後フッ素化合物が分解ガスとして確認されます。
パーフルオロスルホン酸ポリマーの構造(図2)から今回の熱分解挙動を考えると、300℃からまず末端のスルホン基が分解し、その後、350℃からフッ素化合物部分の分解が進行していることが考えられます。
図 1 パーフルオロスルホン酸ポリマーのTG-MS測定結果
図2 パーフルオロスルホン酸
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo plus EVO2 TG-DTA8122および1ch MS-IF、GC-MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア