石炭のTG-MS その2
Application Note
B-TA2005
はじめに
石炭を利用して水素を製造する方法は古くから研究されていますが、近年の水素エネルギーへの期待から再注目されている技術です。今回は水蒸気雰囲気にて石炭を加熱し、その発生ガスをTG-DTA/GC-MSで調べることで、石炭の水蒸気改質のモデル測定を実施しました。
測定・解析例
九州産の石炭を5㎎、Pt容器に秤量し、室温、80%RHの水蒸気雰囲気で室温~1400℃まで20℃/minで昇温しました。MSのイオン化には電子イオン化(EI、イオン化電圧17V)を使用しました。
蒸気あり(Wet)となし(Dry)の測定結果の比較を図1に示します。Wetでは900℃付近から1300℃までに60%程度の減量が認められました。この減量時にはH2、CO、CO2の発生が確認できました。一方、Dryではこの温度範囲にて減量は確認されておらず、水蒸気に起因する新たな反応が起きていることがわかります。
「石炭のTG-MS その1」に記載したように500℃付近の減量時に石炭の有機ガス成分が放出されます。その残渣であるカーボン分が900℃以上でH2Oと反応し、下記のような反応が起きています。
C(カーボン分) + H2O → H2 + CO
CO + H2O → H2 + CO2
図1 石炭の発生ガス温度プロファイル、
(a)H2、(b)CO、(c)CO2
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122および1ch MS-IF、GCMS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア、3次元解析ソフトウェア