混紡繊維の燃焼
はじめに
複数の材料を混合し形成された製品の熱挙動は複雑になります。どの温度域がどの材料によるものなのかを判断するには単体での測定結果と混合物の測定結果を比較することが重要です。今回は、服などに使われている繊維(綿、ポリエステル、綿+ポリエステルの混紡)を燃焼させたときの燃え方の違いを試料観察TG-DTAを用いて測定しました。
測定・解析例
図1.に綿100%、ポリエステル100%、綿+ポリエステルの混紡生地のTG-DTA結果を示します。
測定は各種生地2mgを切り取り、昇温速度20℃/min、Air雰囲気、流量300mL/minにて測定を行いました。
図2.にそれぞれの試料観察画像を示します。
図1. 各種生地のTG-DTA測定結果
図2. 各種生地の観察画像(① 綿100%, ② ポリエステル100%, ③ 綿+ポリエステル混紡)
綿100%のTG-DTA結果では、測定開始直後に吸水していた水の脱水による減量がみられています。その後、350℃付近に燃焼による発熱ピークを伴った減量がみられ、400℃付近から2段階目の燃焼がみられます。
ポリエステル100%のTG-DTA結果では、240℃に融解による吸熱ピークがみられ、400℃付近に燃焼による発熱ピークを伴った減量がみられ、その後、500℃付近に2段階目の燃焼がみられます。
綿とポリエステルの混紡生地では、240℃付近に融解による吸熱ピークがみられ、350℃付近に1段目燃焼、400℃付近に2段階目の燃焼、500℃付近に3段階目の燃焼がみられます。
混紡生地の測定結果を綿、ポリエステルの結果と比較すると、240℃の融解はポリエステルによるもの、350℃の減量は綿、400℃の減量はポリエステルによると考えられます。
試料観察画像をみてみると、綿100%生地では、250℃付近から茶色に変色し、その後黒色と変化しています。一方でポリエステル100%生地と混紡生地では、240℃の融解によって形状の変化が見られ、その後黒色へと変化しています。各試料とも450℃では炭化成分が残り、最後の減量で炭化成分が燃焼していると判断されます。
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo plus EVO2 試料観察TG-DTA
- Thermo plus EVO2 測定ソフトウェア・解析ソフトウェア