ガラス粉末の形状変化
Application Note
B-TA1023
はじめに
ガラス粉末はガラス転移後、試料の粘性の変化により著しく形状が変化します。この形状の変化点を軟化点と呼ばれている場合もあります。形状変化はエネルギー変化ではないためDSCでは現れませんが、DTAでは見かけの比熱容量の変化としてベースラインのシフトとして現れるため、ガラス粉末の形状変化の測定ではよく用いられています。
今回、縦型DTAであるDTA8611にてガラス粉末を測定し、試料の形状変化とDTAのベースラインの変化について比較しました。
測定・解析例
図1はガラス粉末のDTA測定結果となります。測定は試料量75mg、昇温速度20℃/min、大気雰囲気にて行いました。図2は各温度で測定を止め、試料の形状を確認した画像となります。
DTA測定結果では740℃にガラス転移によるベースラインのシフトが見られます。その後800℃付近から吸熱方向へのベースラインのシフトが段階的に見られます。ガラス転移直後(画像②)では試料の形状は粉末状態ですが、800℃付近からのベースラインのシフトは試料の体積が収縮している(画像③)ことによる変化となります。その後試料はフロート状態(画像④、⑤)となり徐々に流動性を持つことで1000℃から1150℃にかけて緩やかにベースラインがシフトしています。1200℃で試料は流れ出した状態(画像⑥)になっています。
図 1 ガラス粉末のDTA測定結果
図 2 各温度での試料形状画像
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo plus EVO2 DTA8611