PEFC電解質膜の吸水特性評価

Application Note B-TA1016

はじめに

固体高分子形燃料電池(PEFC)の電解質層には電解質膜として固体高分子膜(イオン交換膜)が使用されています。PEFCの動作環境は高温多湿環境であるため、湿度における物性評価は重要となります。今回、PEFCの電解質膜として使用されているパーフルオロスルホン酸ポリマーについて水蒸気TG-DTA及び水蒸気TMAを用いて吸水特性の評価を行いました。

測定・解析例

パーフルオロスルホン酸ポリマーについて水蒸気TG-DTAの測定結果を図1(a)に、水蒸気TMAの測定結果を図2(a)に示します。各測定共に試料温度を25℃に保持し、25℃での相対湿度を20%RH40%RH60%RH80%RHと段階的に変化させた場合の重量変化率及び膨張変化率を測定しました。このように相対湿度の変化に対し試料は吸脱水し、TGではその吸脱水率を、TMAでは膨張変化率を調べることが可能です。また、相対湿度を2.5%RHで段階的に変化させた測定を行い、相対湿度に対し変化率をプロットしました結果を図1(b)、図2(b)に示します。これらの結果では試料は水蒸気濃度域によって吸着特性が異なり、10%RH以下では急激に吸水するが、その後は直線的に吸水し、60%RH以上の濃度域では水蒸気濃度上昇とともに吸水率の増加率は上昇しています。なお、吸水率と膨張変化率は同様の傾向が見られ、相関性があることがわかります。

パーフルオロスルホン酸ポリマーの調湿TG-DTA結果(a)と相対湿度と重量変化率プロット(b)

図 1 パーフルオロスルホン酸ポリマーの調湿TG-DTA結果(a)と相対湿度と重量変化率プロット(b)

パーフルオロスルホン酸ポリマーの調湿TMA結果(a)と相対湿度と膨張変化率プロット(b)

図 2 パーフルオロスルホン酸ポリマーの調湿TMA結果(a)と相対湿度と膨張変化率プロット(b)

 

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