材質の異なる糸をTG-DTAで測定
Application Note
B-TA1012
はじめに
裁縫や刺繍で使用される糸にはいろいろな材質があります。大きく分けると天然繊維と化学繊維があり、天然繊維の中でも植物繊維と動物繊維に分けられます。植物繊維では綿、麻など、動物繊維では絹、羊毛等が挙げられます。また化学繊維ではポリエステル、ナイロン等がよく使用されています。
今回は手縫い糸のうち、材質の異なる綿糸、絹糸、ポリエステル糸についてTG-DTAで測定しました。
測定・解析例
手縫い糸を2~3mmの長さに切断してサンプリングを行いN2雰囲気で500℃まで20℃/minで昇温しました。TG-DTA結果を図1に示します。
TG結果では絹糸は200℃付近から徐々に減量が始まり、300℃付近で分解による急激な減量がみられました。その後、500℃まで緩やかな減量が続きました。綿糸は300℃付近から減量が始まり、350~400℃で分解による減量がみられました。また、ポリエステル糸は400~500℃で分解による減量がみられました。
DTA結果では、ポリエステル糸のみ250℃付近で融解による吸熱ピークが観察されました。また、それぞれの糸の分解時にも吸熱ピークがみられました。
このように材質の異なる糸でTG-DTA結果に明確な違いがみられるため、各種材質の違いをTG-DTAにて判別することができます。
図1 手縫い糸(絹、綿、ポリエステル)のTG-DTA結果
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122
- Thermo plus EVO2ソフトウェア