PEFC電解質膜の加熱変化(加湿雰囲気)

Application Note B-TA1009

はじめに

固体高分子形燃料電池(PEFC)の電解質層には電解質膜として固体高分子膜(イオン交換膜)が使用されています。今回、PEFCの電解質膜として使用されているパーフルオロスルホン酸ポリマーの熱分解について異なる加湿雰囲気下にてTG-DTAを測定し、湿度が分解反応に及ぼす影響について比較しました。

測定・解析例

パーフルオロスルホン酸ポリマーをTG-DTA/HUM-1にて測定しました結果を図1に示します。

パーフルオロスルホン酸ポリマーのTG-DTA/HUM-1測定結果

1 パーフルオロスルホン酸ポリマーのTG-DTA/HUM-1測定結果

測定は450℃まで異なる水蒸気分圧にて450℃まで昇温し、分解挙動についての湿度依存性を比較しました。

比較した雰囲気はdry1.3KPa3030%RH)、2.5KPa3060%RH)、12.0KPa6060%RH)、17.9KPa6090%RH)、24.9KPa7080%RH)の6条件にて実施しました。

TG-DTA測定結果では300℃付近と400℃付近の2段階の減量が見られていますが、300℃付近の減量は各条件で差は見られず、水蒸気分圧の影響を受けていないことがわかります。これに対し400℃付近の減量は水蒸気分圧が高いほど低温側で反応が進行しており、且つ、12.0KPaまではその影響が顕著に現れており、それ以降はあまり変化は見られないことがわかります。

この2段階の減量はガス分析の結果(B-TA 2014参照)から300
付近にはSO2が、400℃付近にはフッ素化合物の発生が見られ
ており、図2のパーフルオロスルホン酸ポリマーの構造から、末端
基であるスルホン基の分解は水蒸気分圧の影響は受けず、フッ素
化合物の分解は加水分解していることが伺えます。

パーフルオロスルホン酸

図2 パーフルオロスルホン酸

 

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