TG-DTAによる石炭の分析

Application Note B-TA1005

はじめに

石炭の品質は揮発成分と固定炭素含有量によって決まります。一般的には揮発成分が少なく、固定炭素含有量が多いほど、高品質の石炭となります。「JISM8812 石炭類及びコークス類-工業分析方法」では試料容器に入れた石炭等の試料を任意の温度まで加熱し、取り出した試料の重量を秤量することで、水分、揮発成分、固定炭素含有量及び灰分の定量を行います。今回、このプロセスの温度条件に準じてTG-DTA測定を行い、TGの減量率から石炭の水分、揮発成分、固定炭素含有量、灰分の解析を行いました。

測定・解析例

TG-DTA測定では10mgの石炭片をPt試料容器に入れて行いました。下図のTG-DTA測定結果では測定開始後、100℃の温度保持終了まで(①)に2.0%の減量が見られ、その後950℃で雰囲気を切り替えるまで(②)に29.9%の減量が見られます。また空気雰囲気に変更する(③)ことで66.0%の減量が見られます。この時、①は水分率、②は揮発成分率、③は固定炭素率を示すことになり、残渣は灰分率として考えられます。

今回の石炭試料は水分:2.0%、揮発成分:29.9%、固定石炭:66.0%、灰分:2.1%と見積もられます。

また、今回は試料観察TG-DTAを用いて測定しました。試料の画像もTG-DTA測定結果に添付します。試料画像を見てみると、揮発成分が揮発することで試料は収縮している事、燃焼によって試料の色は黒色から白色化している様子がわかります。

試料観察TG-DTAで測定することで、試料の反応中の重要な視覚的な変化も確認できます。

石炭の試料観察TG-DTAの測定結果

石炭の試料観察TG-DTAの測定結果

 

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