材料の経年変化 Ca(OH)2 の炭酸化
Application Note
B-TA1001
はじめに
試薬は、空気や水、光などと反応し、化学変化をすることがあります。TG-DTAを用いて測定することで、変化の進行具合を把握できることがあります。
ここでは、水酸化カルシウムの変化について評価を行いました。
測定・解析例
図1は水酸化カルシウムのTG-DTA測定結果です。
密栓した状態から取り出した試料の測定結果(オリジナル)では400℃付近に脱水による吸熱ピークを伴う減量(-22.8%)が見られます。25℃ 60%RHの状態で7日間放置した後測定した結果(7日間放置後)では400℃付近の脱水による減量が少なくなっており(-9.2%)、600℃付近に減量(-26.0%)が見られます。これは、放置している間に空気中の二酸化炭素を吸収し水酸化カルシウムの一部が炭酸カルシウムに変化することにより400℃付近の脱水による減量が少なくなり、600℃付近の炭酸カルシウムの脱炭酸による減量が起こることを示しています。
また、オリジナルの測定結果においても600℃付近にわずかに減量(-1.3%)が見られており、保存中において一部炭酸化が進行していることが考えられます。
図1. 水酸化カルシウムのTG-DTA測定結果
推奨装置・推奨ソフトウェア
- Thermo plus EVO2 TG-DTA8122