熱伝導率測定のアプリケーション~多孔質材料と水分の影響~
Application Note
A-TA4003
断熱材が水分を含むと熱伝導率はどのように変化するのか?
断熱材に限らず、多孔質材料は、その多孔質構造の伝熱過程の特性により材料内部の水分状態によって熱伝導率が変化します。特に、内部に多くの空隙が存在し、熱伝導率が小さい断熱材では水分の影響が相対的に大きくなると考えられます。
取り分け、屋外で使われる多孔質建築材は、雨の影響を受けるので、特に、乾燥状態での熱伝導率値の把握だけでは不十分となり、その水分の影響は特に重要な因子となります。
材料が水や湿気を吸収すると、熱伝導率は大きくなります。これは、材料内部の熱伝導率の小さい空気が、それよりも熱伝導率のはるかに大きな水(約25倍)と入れ替わるためです。細孔が多く、水湿分を吸収しやすい材料は特に影響を受けやすく、断熱性能を大きく低下させます。
多孔質材料について、乾燥中と完全に水の中に水没した状態での熱伝導率の変化について比較してみました。
多孔質材料を水中に水没させた実験
多孔質材料の熱伝導率(乾燥と水没状態の差異)
断熱材料内部の空孔の熱伝導率の小さい空気が、大きな水(約25 倍)と入れ替わり、熱伝導性の高い材料に変化し、断熱性能に大きく影響を及ぼします。