アプリケーションノート B-XRD2034
はじめに
深紫外線LEDは、水銀ランプに代わる環境負荷の少ない紫外線源として普及が望まれています。近年は特にその殺菌機能が注目を集めており、早期の実用化が期待されています。発光効率向上と長寿命化には、AlGaN発光層のベースとなるAlN層の高品質化が求められます。本測定例では、AlN層の刃状貫通転位密度の指標として用いられる面内回転方向の結晶方位分布(ツイスト幅)の適切な評価方法を検討しました。
測定・解析例
測定試料にはc面サファイア基板上のc面成長AlN膜を使用しました。 \(10\overline{1}0\) 反射の疑似インプレーン配置測定では、AlN m面による回折が観測され、ωスキャンによるロッキングカーブピーク幅からAlNのツイスト幅が直接求められます。しかしこの方法では試料へのX線の入射効率が低いことから、特に膜厚が小さい試料では効率的な評価が行えない場合があります。このため、表面と斜交する \(10\overline{1}l\) 反射を利用した評価が行われています(図1)。
図2にAlN \(10\overline{1}l\) 反射(\(l = 0 \sim 3\))のロッキングカーブプロファイル、図3に \(10\overline{1}l\) (\(l = 0 \sim 5\))、 \(11\overline{2}l\) (\(l = 2, 4\))および0002反射のロッキングカーブ幅(FWHM)と、各格子面と試料表面のなす角度の関係を示します。 格子面と試料表面のなす角度が大きい \(10\overline{1}1\) 反射(約62°)と \(11\overline{2}2\) 反射(約58°)では、ωスキャン・φスキャンともに、 \(10\overline{1}0\) 反射から求めたツイスト幅と同等のピーク幅が観測されました。 これに対して、格子面と試料表面のなす角度が小さい \(10\overline{1}2\)~ \(10\overline{1}5\) 反射や \(11\overline{2}4\) では、ωスキャンはピーク幅が小さく、φスキャンではピーク幅が大きくなる傾向が見られました。
以上から、AlN膜のツイスト幅は、 \(10\overline{1}1\)・ \(11\overline{2}2\) 反射のように格子面と試料表面のなす角度が大きい反射のロッキングカーブからも評価を行えることが確認されました。 これら以外の反射を利用して評価を行う場合には、真のツイスト幅との差異を考慮する必要があると考えられます。
図1:ロッキングカーブによるAINのツイスト幅評価
(a)\(10\overline{1}0\)反射の疑似インプレーン配置測定(b)\(10\overline{1}l\)反射の対称配置測定
図2:AlN \(10\overline{1}l\)(\(l = 0 \sim 3\))のロッキングカーブ
(a)ωスキャン(b)φスキャン
図3:AIN \(10\bar{1}l\) (\(l = 0 \sim 5\),図中○●)、 \(11\bar{2}l\) (\(l = 2,4\),図中△▲)、 \(0002\)反射(図中○)の ロッキングカーブ幅(FWHM)と 各格子面と試料表面のなす角度の関係
試料ご提供:徳島大学 永松謙太郎先生
推奨装置・推奨ソフトウェア
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