フッ素ゴムの劣化 荷重変化による変形
アプリケーションノート
B-TA1051
はじめに
フッ素ゴム製Oリングについて、高温保持による熱的劣化が荷重(応力)変化に対する変形(歪み)に及ぼす影響について検討しました。
測定・解析例
新品、および保持温度300℃(保持時間各12h、24h、48h)の3条件でサンプルを作製し、TMA圧縮荷重法により荷重範囲30mN~500mNを50mN/minで連続的に変化させ後35分間保持し、500mN到達時および35分経過後の4サンプルの変形量を測定しました。

図 1 荷重-変形量プロット
表 1 変形量(%)比較
ΔL (%) | ||||
New | 12h | 24h | 48h | |
(a): 500mN 到達時 | 3.01 | 4.72 | 5.72 | 4.06 |
(b): 500mN 35分間 HOLD後 | 3.41 | 6.63 | 8.48 | 5.44 |
(c): 500mN 35分間 (b) - (a) | 0.4 | 1.91 | 2.76 | 1.38 |
(a)500mN到達時 では、新品と比較すると、保持時間が12h、24hの順で荷重変化に対する変形量が大きくなり、熱的劣化によってサンプルが柔らかくなることがわかります。しかし、保持時間が48時間の場合は、12時間や24時間とは逆に変形量が小さくなる結果となりました。さらに、(b)500mN 35分間HOLD後 の変形量も(a)と同様の傾向を示しています。このことから、熱的劣化の初期段階ではゴムが軟化し、劣化が進行すると硬化することが推測されます。
このように、荷重変化に対する変形量を比較することで、ゴムの劣化に関する有用な情報が得られると考えられます。
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