フッ素ゴムの劣化による膨張率の変化
アプリケーションノート
B-TA1049
はじめに
フッ素ゴム製Oリングについて、高温保持による熱的劣化が膨張率に及ぼす影響について検討しました。
測定・解析例
保持温度300℃、保持時間 12h、24h、48hの3条件でサンプルを作製し、TMA圧縮荷重法で測定して温度保持なしのサンプルとの膨張率を比較しました。
図 1 各保持時間サンプルのTMA測定結果
表 1 各保持時間サンプルの膨張率(%)
温度 ℃ |
温度保持無し |
12h |
24h |
48h |
50 |
0.41 |
0.33 |
0.34 |
0.22 |
100 |
1.40 |
1.05 |
1.01 |
0.69 |
150 |
2.53 |
2.10 |
1.88 |
1.43 |
200 |
3.66 |
3.29 |
2.92 |
2.39 |
250 |
4.92 |
4.54 |
4.08 |
3.45 |
300 |
6.22 |
5.85 |
5.27 |
4.61 |
温度保持無しのサンプルと300℃で一定時間保持したサンプルを比較すると、温度保持サンプルは温度保持無しサンプルに比べて膨張率が低下する傾向が見られます。保持時間12hと保持時間24hのサンプルでは130℃付近までは同じ膨張を示し、その後、違いが大きくなっています。保持時間48hのサンプルでは、50℃付近から膨張率が小さくなる結果となりました。
一般的に、ゴムは熱劣化の初期に硬化することが知られており、膨張率の低下は硬化によるものと推測されます。
また、Oリングのシール性は硬さにより影響を受けることが考えられ、膨張率の測定は劣化を判断する一つの指標として有効と考えられます。
推奨装置・ソフトウェア
- Thermo plus EVO2 TMA8311(圧縮荷重アタッチメント)
- Vullios測定・解析ソフトウェア
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