熱分析豆知識

 

第29回 その試料をTPD typeVにセットしても大丈夫?

TPD typeVは高真空下で試料を加熱した際のごく微量な発生ガスを確認する装置であり、昇温脱離法、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)とも呼ばれる手法です。試料加熱部とガス検出用の質量分析計が同じ高真空チャンバー内に設置されているため、試料加熱で発生したガスをそのまま質量分析計に導入することができ、高感度な測定を実現しています。

一方でこのような装置構造のためガスの発生量には注意が必要であり、ガスを大量に発生させてしまうと装置全体を汚染させてしまい、場合によっては部品交換などのメンテナンスが必要になります。導入する試料は加熱した際に減量が非常に小さい、μgオーダー以下であることが望ましく、複合装置であるTG-MSやTG-FTIRでの発生ガス分析とは使用感が異なることを留意してください。またTPD typeVでは試料を直接試料ホルダーにセットすることが多いため、試料が融解するとホルダーに固着してしまう可能性があります。加熱する温度範囲を十分考慮することをお勧めします。

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