熱分析豆知識

 

第44回 熱分析装置のメンテナンスってなにをするの?

熱分析装置のメンテナンスはどのようなことをすればよいのか?お悩みではありませんか。
分析装置は何年も使用すると思いますが、装置には劣化や経年変化が生じます。これらの影響が熱分析の測定結果に反映されていないかどうか、確認をする方法を2つご紹介します。

1つ目は装置状態に由来する疑似ピークやノイズといった変化を確認するブランク測定です。
TG-DTAやDSCではサンプル側とレファレンス側の両方に空容器、または同量のアルミナを入れた容器をセットしてブランク測定を行います。TMAのブランク測定ではサンプル側とレファレンス側の両方に同じ長さの基準試料を置いて測定します。理想的にはブランク測定結果はフラットな直線になりますが、ピークや大きなノイズがみられる場合は装置自体に劣化や経年変化が生じている可能性があります。装置由来のピークやノイズが大きく、サンプル測定時も気になる場合は部品の交換なども視野に入れた方が良いでしょう。

2つ目は温度の確認です。
熱分析で重要となる温度に関しては、高純度金属(In, Sn, Znなど)の融解測定を行い、その融解温度をチェックします。測定結果における温度は熱電対で計測していますが、熱電対は経年劣化します。このため高純度金属を測定した際の融解温度を文献値と比較することで、装置の温度誤差を把握することができます。さらに、適切な高純度金属の融点測定結果を用いて温度較正をすることで、正しい温度の測定結果を得ることができます。

このような測定を定期的に行うことで装置の劣化や異常を把握することができます。また、サンプル測定をした際に以前と比較し違和感を覚えた時にも上記の測定をして、現在の装置の状態を確認することをおすすめします。

製品情報
DSCvesta2
TG-DTA8122
TMA8311/HUM

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