熱分析豆知識

 

第42回 湿度雰囲気下の熱分析

熱分析では、目的とする雰囲気下の挙動を見るために特定の雰囲気ガスをフローして測定することが行われます。
一般的なフローガス種としてはAir、N2、Arなどがありますが、水蒸気発生装置を接続することにより、N2をキャリアガスとした一定の相対湿度ガスフロー下で測定をすることが可能です。
相対湿度とは、その温度の飽和水蒸気圧と水蒸気分圧の比(%)です。
たとえば、25℃ 相対湿度50%(50%RH)の場合、25℃の飽和水蒸気圧は3.169kPaなので、水蒸気分圧は1.585kPaとなります。また、34℃ 20%RHの場合は、水蒸気分圧は1.596kPaとなるため、25℃ 50%RHと34℃ 20%RHの2つの条件の水蒸気分圧はほぼ等しくなります。
測定としては、一定の相対湿度のガスをフローしながら昇温を行う方法と、一定温度に保持した状態で相対湿度を段階的に変化させる方法があります。
なお、室温以上の温度での相対湿度雰囲気での測定については、一定温度で保温が可能な恒温型電気炉が必要になります。
TG-DTAにおいて、一定の相対湿度のガスをフローしながら昇温を行う測定では、昇温に伴う水分の脱着量とその温度の湿度依存性、分解反応に対する湿度の影響等を評価することができます。
一定温度に保持した状態で相対湿度を段階的に変化させる方法では、相対湿度変化に伴う水分の吸着量の変化や一定の吸着量に達する時間などの情報が得られます。
TMAにおいて、一定の相対湿度のガスをフローしながら昇温を行う方法では熱膨張・収縮の湿度依存性を、一定温度に保持した状態で相対湿度を段階的に変化させる方法では湿度変化による膨張・収縮、一定の膨張(収縮)量に達する時間などを測定することができます。
相対湿度を段階的に高くしていった場合とその状態から相対湿度を段階的に低くしていった場合で吸脱着量または膨張収縮量に差が見られるようなケースでは、湿度変化に対す不可逆性や応答性の違い等が推定されます。

製品情報
TG-DTA8122/HUM
TMA/HUM
HUM-1

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