熱分析豆知識

 

第41回 試料容器はどんな種類がある?

TG-DTA、DSCの測定では、通常、サンプルを特定の試料容器(パン)に入れて測定します。試料容器は、材質・形状により数種類あり、測定温度範囲や測定目的により選択します。

TG-DTAの場合は、分解反応などガス発生を伴う挙動を測定目的とすることが多く、サンプルからの発生ガスが容器内に滞留しないように開放型容器を使用します。一般的には、測定温度範囲500℃以下であればAl製、500℃以上であれば、Pt製を使用しますが、容器材質であるAlやPtとサンプルあるいは反応生成物との反応性が予測される場合には、Al2O3製やSiO2製試料容器を選択します。
容器のサイズは直径5mm 高さ2.5mm、または直径5mm 高さ5mmの2種類となります。
サンプルの比重が小さい場合や目的とする重量変化が小さい場合など、試料量を多く採りたいケースでは、直径5mm 高さ5mmのサイズを選択します。

DSCで融解や結晶化、転移などを目的として測定する場合は開放型ではなくクリンプ容器を使用します。クリンプ容器はAl製容器にサンプルを入れてその上にAl板を載せ、円周部をサンプルクリンパーにより内側にカールさせて容器底面にサンプルを密着させるタイプの容器です。
クリンプ容器を使用することによりサンプルとDSCセンサー部の熱的接触が良好となり、感度や再現性の向上が期待できます。 Pt製容器やAl2O3製容器の場合クリンプはできませんが、サンプルを容器に入れた後Pt製プレートやAl2O3製プレートを載せることにより、Al製クリンプ容器類似の効果が得られることもあります。
サンプルが溶液や液体の場合、開放型容器を使用すると、蒸発による吸熱ピークが大きく現れてしまい目的とする測定ができないことがあります。このようなケースでは、Al製シール容器(密封型容器)を使用することにより、液体や溶媒の蒸発を抑えた状態で測定することが可能です。なお、Al製シール容器の耐圧は0.3MPaとなっており、昇温に伴い容器内部圧力が0.3MPaを超えるとリークが起こります。前もってTG-DTAでリークに伴う減量を測定することにより、そのサンプルに対する耐圧温度(シール容器の測定可能温度)を確認することができます。
ステンレス製の耐圧5Mpaのシール容器は、消防法による第五類危険物(自己反応性物質)の危険性判定に使用する容器ですが、分解ガスにより圧力が上昇する状態(密閉状態)での分解反応等の測定にも使用できます。

製品情報
TG-DTA8122
DSCvesta2
DSCvesta

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