熱分析豆知識

 

第46回 DSC測定における雰囲気ガスの役割

DSC測定を行うとき、測定雰囲気はどのように決めていますか?
例えばリガクのDSCでは静止大気中、もしくはN2やArなどの不活性ガスを一定流量フローした状態で測定を行うことが可能です。

DSC測定における雰囲気ガスの主な役割は3つあります。
1つ目は大気中の酸素による測定試料の酸化を抑制することです。測定中の試料を酸化させたくない場合は不活性ガス雰囲気で、逆に試料の酸化反応を見たい場合はAir雰囲気で測定を行います。
2つ目は高温域の測定において感熱板を保護することです。DSCの感熱板は高温下では酸化によって劣化が生じる可能性があるため、不活性ガス雰囲気で測定します。なおDSCvestaは500℃以上、DSCvesta2は600℃以上の測定において、不活性ガス雰囲気での測定に限定されます。
3つ目は冷却機を接続した際の炉体内部の結露防止です。大気中に含まれる水分の結露防止のため、乾燥ガス雰囲気としてN2ガスをフローして測定を行います。

このようにDSC測定における雰囲気ガスは、測定試料との反応性だけではなく、DSCの装置構造上の理由などにも関係します。このためDSCの仕様に即した雰囲気ガスを選択して測定を行う必要があります。

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DSCvesta2
DSCvesta

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