熱分析豆知識
第35回 ポリマーのheating-cooling測定 熱履歴とは?(1)
DSCによるポリマー測定では、1st.heating→cooling(冷却)→2nd.heatingの測定を行うことがあります。
結晶性のポリマーサンプルの場合、一般的には、1st.heatingで融解による吸熱ピーク、coolingで結晶化による発熱ピーク、2nd.heatingで融解による吸熱ピークが見られることが多いのですが、ここで注意したいのは、2nd.heatingでの融解による吸熱ピークは、cooling過程での結晶化を反映したピークになるとういうことです。冷却速度が異なるcooling過程では、それぞれその冷却速度に依存した結晶(結晶形)を生成し、2nd.heatingではその結晶(結晶形)による融解が起こることになります。
たとえば、1st.heatingの融解ピークが異なっている2種のサンプルでも、cooling条件を同じにして2nd.heatingの融解ピークを測定し、融解ピークが同じになれば、1st.heatingの融解ピークの違いは、物性的な違いによるものではなく、熱履歴の違いによるものと判断できます。
このように、1st.heatingと2nd.heatingのデータを比較することにより、heating過程およびcooling過程での熱履歴(昇温および降温の温度範囲と冷却速度)の違いを確認することが可能となります。
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