熱分析豆知識
第7回 測定結果の誤差~TMA編~
TMA測定結果から膨張率や平均膨張係数を計算する時に誤差の要因として"試料長"と"ドリフト"が挙げられます。
膨張率や平均膨張係数は"試料長"で割って計算するので、"試料長"はマイクロメーターなどで正しく測長しなければなりません。
もう一つの要因"ドリフト"は装置に依存する変化量で、ドリフト量を調べるためにはブランク測定を行います。ブランク測定は、示差膨張方式のTMAでサンプル側とレファレンス側の両方にSiO2(高温型の場合はAl2O3)の基準試料をおいて測定することで調べることができます。示差膨張方式のTMAにおいて測定結果は、
試料の変化量 - 基準試料の変化量 + ドリフト
で計算され、試料の膨張量がドリフトに比べて十分に大きければ誤差は小さくなりますが、試料の膨張量が小さいなど、ドリフトが気になるような結果であれば、TMA測定結果からブランク測定結果を引くことで、ドリフトはキャンセルできます。この操作はソフトウェア上の[解析]-[ベースライン補正]-[ブランク補正]で行うことが可能です。("基準試料の変化量"をTMA測定結果に足して"試料の変化量"のみにする作業を基準試料補正と言います)。試料のみを測定する引張荷重法などの全膨張方式ではブランク測定をおこなうことはできませんので、ブランク測定ができるのは示差膨張方式の特長とも言えます。
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