熱分析豆知識
第16回 結晶化度の計算(2)
結晶化度は結晶質の割合です。第15回では融解エネルギーからの計算について説明しました。
結晶化度のもう一つの計算方法として、ガラス転移から非晶質の割合を求め、1から引くという方法もあります。
非晶質の割合はガラス転移のベースラインのシフト幅から計算し、試料のガラス転移のシフト幅(ΔWガラス転移) と100%非晶質でのガラス転移のシフト幅(ΔW100%非晶質) としたときに、ΔWガラス転移 / ΔW100%非晶質 となるため、結晶化度は
1-(ΔWガラス転移 / ΔW100%非晶質)
で計算できます。高分子では100%結晶質の融解エネルギーを求めることが困難であるとお話ししましたが(第15回)、100%非晶質を得ることは可能な場合も多く、高分子材料の結晶化度を得るにはこちらの方が適しているかもしれません。ただしこの場合の難点としては、融解ピークからエネルギーを計算する場合と比較してガラス転移のシフト幅は変化が大きいとは言い難いため、あまり詳細な数値までは議論しにくい点となります。
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