熱分析豆知識
第8回 窒素フローでも燃えてしまう?酸化してしまう?
TG-DTA測定中、窒素フローにも関わらず、サンプルが燃焼したり酸化したりしてしまうことはありませんか?実は、窒素フローでも電気炉内のサンプル周辺の酸素濃度はゼロ%にはなりません。ppmのオーダーで酸素は残っており、その酸素と反応していることが考えられます。
TG-DTAの3つのガス導入口のうち、炉内に残っている酸素濃度(残留酸素濃度)は、GAS3(天秤室後部からのフロー)から窒素を流すことで下がりやすくなります。GAS1やGAS2からフローしている場合はGAS3からのフローに変更することで改善できる可能性があります。
もう一つはパージ時間です。セットする際、試料は大気に暴露されてしまいます。このため試料を装置にセットし、電気炉を閉めた後にすぐ測定を開始するのではなく、時間をおいて炉内をパージしてから測定を開始することで残留酸素濃度は下がります。目安は10~15min.ですが、パージ時間が長いほど残留酸素濃度は下がります。オプションのガスフローユニットを使用すれば、10min.のパージ時間で通常のフローより残留酸素濃度を下げた測定が可能です。
最後にもう一つ。ガスボンベと装置までの配管にシリコンチューブは使用しないでください!シリコンチューブは酸素を透過してしまいます。
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