エンジンオイルの分解挙動 劣化による違い
アプリケーションノート
B-TA1059
はじめに
市販の自動車用化学合成エンジンオイル(5W-40 SN)について、120~180°Cでそれぞれ12時間保持し劣化させたサンプルと室温保管サンプルについて、分解挙動を測定し比較しました。
測定・解析例
エンジンオイルをAl製容器に入れ、120°C、140°C、160°C、180°Cで12 hrホールドしたサンプルを作成し、TG-DTAを使用して空気中で350°Cまで昇温しました。
図1 TG-DTA測定結果
各サンプルとも200°C付近から350°Cにかけて、3段階の減量が現れています。特に、310°C付近までの減量率にサンプル間の違いが見られ、ホールド温度が高いほど減量率が低下する傾向が認められます。特に保持温度が140°Cを超えると減量率が大きく変化しており、熱的劣化が急激に進行することが推測されます。
表1 310°C 減量率
サンプル | 310°C 減量率 % |
室温保管 | 77.2 |
120°C 12h 保持後 | 76.4 |
140°C 12h 保持後 | 71.3 |
160°C 12h 保持後 | 58.6 |
180°C 12h 保持後 | 29.7 |
この結果は、この温度域で分解燃焼する成分が熱的劣化に関連して変化することを示しており、減量率の変化が熱的劣化の程度を推定する指標の一つとなることが考えられます。
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