フッ素ゴムの劣化によるガラス転移温度の変化
アプリケーションノート
B-TA1055
はじめに
フッ素ゴム製Oリングについて、高温保持による熱的劣化がガラス転移温度に及ぼす影響について検討しました。
測定・解析例
空気中250℃、48hr、72hr、96hr温度保持して作製したサンプルおよび温度保持なしのサンプルについてDSCを使用してガラス転移温度を測定し、比較しました。

図 1 各保持時間のサンプルのガラス転移温度
DSCではガラス転移はベースラインの吸熱側へのシフト(階段状変化)として現れます。ゴムの場合、ガラス転移は一般的に室温以下に現れ、また、ガラス転移温度以下では非晶質固体となるため、弾性体として利用できません。
今回の測定結果では、温度保持なしサンプル(新品)と各保持時間のサンプルについて、-20℃付近から-12℃付近に現れるガラス転移温度を比較すると、保持時間の長いサンプルほどガラス転移温度がわずかに高温側にシフトする傾向が認められます。このことは、室温以上の温度で長期間使用された場合、劣化により硬くなり、Oリングとしてシール性が低下する可能性を示していると考えられます。
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