DSCによるHDPEの結晶化度の測定
アプリケーションノート
B-TA1046
はじめに
HDPE(高密度ポリエチレン)の結晶化度を融解エネルギーの測定により評価することができます。今回、2種類のHDPEについて、オリジナル、急冷後、徐冷後の試料について、それぞれの融解エネルギーから結晶化度を比較した結果を示します。
測定・解析例
図1はHDPEのDSC測定結果です。 90℃~130℃に融解による吸熱ピークが現れています。 急冷処理は、融解後試料を装置からとりだすことにより、徐冷処理は装置内で30℃程度まで放置することにより実施しました。
図1 HDPEのDSC測定結果
各試料の融解による吸熱ピークのエネルギーを下表に示します。HDPEの完全結晶体の融解エネルギーは286J/g~293J/gの報告があり、今回は290J/gとして結晶化度を求めました。
試料 | エネルギー J/g | 結晶化度 % | |
HDPE 1 | オリジナル | 189.4 | 65.31 |
急冷後 | 185.2 | 63.86 | |
徐冷後 | 202.1 | 69.69 | |
HDPE 2 | オリジナル | 185 | 63.79 |
急冷後 | 177.3 | 61.14 | |
徐冷後 | 192.9 | 66.52 |
各試料ともオリジナルの状態に比較して、急冷した場合は結晶化度が低くなり、徐冷した場合は高くなる結果となり、結晶化度は冷却速度に依存することがわかります。
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