室温以下における吸着量の評価

アプリケーションノート B-TA1043

はじめに

物質へのガス吸着は温度に対してその吸着量は変化します。一般的に低温であるほど吸着量は増加するため、室温以下での吸着量を評価することが好ましい場合があります。

今回、MOF(金属有機構造体)であるHKUST-1について室温以下でのCO2の吸着量を低温TG-DTAを用いて測定を行い、温度に対するCO2吸着量の評価を行いました。

測定・解析例

試料HKUST-1の低温TG-DTA測定結果を図1に示します。低温TG-DTAは電気冷却ユニットを搭載したTG-DTAで-40℃まで降温が可能です。今回前処理としてHe雰囲気中にて180℃まで昇温し、吸着物を脱離させたのち冷却、各温度にてCO2雰囲気に変更しCO2ガスの吸着量を測定しました。なお、吸着温度は-29℃、-4℃、12℃、23℃で吸着量を測定し、各温度で吸着後180℃まで再昇温しています。

TG-DTA測定結果では第一昇温時に40%の減量が見られます。その後冷却し-29℃でCO2雰囲気に変更することでCO2ガスの吸着による62%の増量が見られます。同様に-4℃では42%、12℃では31%、23℃では23%のCO2の吸着が見られ、温度が低いほどCO2ガスの吸着量は多く、-29℃では23℃での吸着量に比べ3倍近くCO2を吸着しています。図2に今回の結果から得られた温度と吸着量のプロットを示します。

このように低温TG-DTAを用いることで室温以下の温度領域において材料の温度に対する吸着特性を評価することが可能となります。

TA1043 Figure 1 Results of low temperature STA measurement of HKUST-1_JP_v2
図1 HKUST-1の低温TG-DTA測定結果

B-TA1043_figure2
図2 温度と吸着量のプロット

(名古屋大学 松田亮太郎先生監修)
(試料提供 名古屋大学 松田亮太郎先生、日下心平先生)

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