試料容器
測定する試料(特に試料が金属の場合など)によっては試料容器を融解させ、試料ホルダーなどを破損することがあります。
測定する際には試料と試料容器の相性を考え、適切な試料容器を選択してください。
◆アルミニウム製試料容器
一般的な反応に使用され、特に分解反応など、ガスの発生を伴う反応の測定に使用されます。
使用に際しては「◇Al容器使用上の注意事項」をご参照ください。
仕様
◆アルミナ製試料容器
500°C以上の測定において一般的な反応に使用されます。
特にPtと反応する試料を測定する際に使用します。
熱伝導の影響によりPtパンに比べDSC(DTA)の感度が低下します。
品目 | 名称 | 材質 | サイズ | 画像 | 最高使用温度 | 備考 | 使用不可装置 |
8592A2 | アルミナパン 2.5mm |
Al2O3 | φ5mm×2.5mmh | 1500°C | 10個1組 | - | |
8592A3 | アルミナパン 5.0mm |
Al2O3 | φ5mm×5mmh | 1500°C | 10個1組 重量変化量、吸発熱量が小さい試料において初期重量を増やして測定する場合や試料が発泡などにより高さが大きく変化する場合に使用される。 |
赤外線加熱炉 高温DSC |
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A00008377 | アルミナ蓋 | Al2O3 | φ3.4mm×1mmh | - | 1500°C | 10個1組 | - |
◆Pt製試料容器
500°C以上の測定において一般的な反応に使用されます。
試料によってはPtと反応する場合があります。
品目 | 名称 | 材質 | サイズ | 画像 | 最高使用温度 | 備考 | 使用不可装置 |
8573 | Ptパン 2.5mm |
PtRh | φ5mm×2.5mmh | 1500°C | 2個1組 | - | |
8575 | Ptパン 5.0mm |
Pt | φ5mm×5mmh | 1500°C | 2個1組 重量変化量、吸発熱量が小さい試料において初期重量を増やして測定する場合や試料が発泡などにより高さが大きく変化する場合に使用される。 |
赤外線加熱炉 高温DSC |
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A00011293 | Pt蓋 | PtRh | φ4.8mm | 1500°C | 2個1組 8573、8575と組み合わせて使用 |
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◆石英製試料容器
品目 | 名称 | 材質 | サイズ | 画像 | 最高使用温度 | 備考 | 使用不可装置 |
8581 | SiO2パン 2.5mm |
SiO2 | φ5mm×2.5mmh | 1000°C | 10個1組 | - | |
8582 | SiO2パン 5.0mm |
SiO2 | φ5mm×5mmh | 1000°C | 10個1組 | 赤外線加熱炉 高温DSC |
◆高圧シール容器(SUS-SUS)
シール(密封)することで試料の蒸発、昇華、分解などを抑えて測定することが可能です。
容器内部圧力が耐圧(5MPa)を超えるとリークや変形を起こします。
ステンレスは熱伝導が悪いためDSC(DTA)の感度が低下します。
*8598A1 高圧シール容器(SUS-AL)とのお間違いにご注意ください
品目 | 名称 | 材質 | サイズ | 画像 | 最高使用温度 | 備考 | 使用不可装置 |
8598B1 | 高圧シール容器 (SUS-SUS) |
SUS | φ5mm×5mmh | 500°C(推奨) 耐圧5MPa |
SUS製(容器)・SUS製(蓋)、20個1組 ・マルチプレス(A00011040 + A00009002) ・マルチシーラー(A00006977 + A00007001) のいずれかを使用してシール可能 蒸発、昇華、分解などによる発生ガスをシールして測定可能 |
赤外線加熱炉 高温DSC |
試料容器の形状
◇オープン容器・クリンプ容器・シール容器
容器の形状は、オープン(開放型)、クリンプ、シール(密封型)などがあります。
DSCでは試料の物理的挙動を測定する場合が多く、一般的には感熱板との熱的接触を良くするためクリンプ容器を使用します。また、容器底面が平滑でないと擬似ピークが現れたり感度が低下したりすることがありますので、感熱板と接触する容器底面の状態にも十分注意してください。
試料が液体や水溶液の場合、あるいは試料中の揮発成分による昇華または蒸発が起こる場合、密封型容器(シール容器)を使用することにより、昇華や蒸発を抑えることができ、融解などの吸熱挙動と区別することも可能です。このとき、使用する容器の耐圧(最高使用圧力)に注意が必要です。 耐圧を超えると試料や内容物のリークが起こります。
試料の蒸気圧や分解時の圧力が不明の場合には、可能であれば事前にシール容器を使用してTG-DTAで測定し、減量が開始する温度を確認することによってその試料に対する耐圧温度を知ることができます。
試料容器の選択に関する注意事項
◇Al製試料容器使用上の注意事項
- アルミニウム(Al)の融点は660°Cです。
アルミニウム製の試料容器を使用して測定をする場合には500°C以上の昇温をしないでください。
また、高温まで昇温した後は試料容器が軟化します。ピンセットやオートサンプルチェンジャーで試料容器をつかむと変形する恐れがありますので測定終了後の容器の取り扱いにはご注意ください。 - アルミニウムと反応する試料は測定しないでください。
場合によっては装置を破損させることがあります。
金属の種類によってはアルミニウムと合金を作ってアルミニウムを融解させる場合があります。
酸やアルカリを含む試料はアルミニウムと反応する場合があります。 - 較正用試料の亜鉛(Zn)はアルミニウムと合金を作り融点が変わる可能性があるため、較正用試料として再利用しないでください。