CT Lab HV によるリチウムイオン電池パックの 内部構造観察と負極の変形の定量評価
アプリケーションノート
B-XRI1025
はじめに
電池の欠陥検出においてX 線CT は有効な分析手法です。大型試料ではX 線が透過しにくくなるため、高エネルギ ーのX 線で撮影することが必要です。CT Lab HV は管電圧225 kV、350 W での撮影が可能なため、大型試料の 内部構造も明瞭に観察できます。ここでは110 mm × 75 mm × 60 mm サイズのリチウムイオン電池パックをCT Lab HV で撮影しました。試料全体の構造観察と負極の変形箇所の観察を目的とし、2 種類の撮影を行いました。ま た、負極の変形箇所の曲率を解析し、変形の度合いを定量的に評価しました。
測定・解析例
はじめに試料全体の構造観察を目的とした広視野撮影を行いました。8分20秒のCT撮影を行い、試料内部の回路 断線の有無を確認しました(図1、2)。このようにX線CTでは製品を解体せずに内部構造を観察できるため、迅速な 欠陥箇所の特定が容易です。次に同じ試料の捲回体上部の高分解能撮影を行いました。観察した捲回体の赤枠部 分に負極の変形が確認できます(図3)。さらに変形箇所の曲率を解析することで、曲率が許容値から逸脱していな いかを評価することも可能です(図4)。図4では曲率が高い箇所を赤色で着色しています。このような撮影・解析は、 製品の抜き取り検査や故障の原因究明に役立ちます。

図1 広視野撮影の立体画像
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図2 広視野撮影の立体画像(拡大画像)
図3 高分解能撮影の断層画像
図4 曲率の解析結果(負極のみ着色)
推奨装置・ソフトウェア
