マイクロX 線CT によるポテトチップス内の じゃがいもの厚さと油のサイズ解析
アプリケーションノート
B-XRI1023
はじめに
食品成分の量や構造は、味や食感に影響します。食品内部の構造観察には各種顕微鏡が用いられますが、崩れや すい構造を維持して断面を切り出し、成分量を算出することは困難です。X線CTでは、試料の立体的なデータから 成分のサイズや体積分率を算出し、任意の断面を観察できます。ここでは、マイクロX線CTで食感の異なるポテトチ ップスを撮影し、じゃがいも、油、食塩の体積分率と、じゃがいもの層の厚さと油のサイズを解析しました。
測定・解析例
食感の異なるポテトチップスS(soft:ふわふわ)とC(crispy:サクサク)を3.6 μm/voxel、30分でCT撮影しました。 幅5 mm、高さ5 mmの範囲に含まれるじゃがいも、油、食塩を立体画像化し(図1)、体積分率を示しました(表1)。
表1 成分の体積分率 (vol%)
ポテトチップスS | ポテトチップスC | |
じゃがいも | 68.0 | 65.7 |
油 | 31.8 | 33.9 |
食塩 | 0.2 | 0.4 |
合計 | 100 | 100 |
図1 ポテトチップスの厚さ方向から見た断層画像
次にじゃがいもの厚さと油のサイズを解析し、断層画像上にサイズ別に着色表示しました(図2)。上段、Sのじゃがい もには、ポテトチップス平面に平行な150 μm程度の層構造が存在しました。油の粒子は表面付近に偏在し、内側に ある、油を含まないじゃがいもと大きな気泡の層が、ソフトな食感を与えている可能性があります。一方、下段、Cに は層構造は存在せず、油、じゃがいも、空隙がさまざまなサイズで混在することがわかりました。
図2 ポテトチップスの断層画像(左:グレースケール画像、中:じゃがいもの厚さ分布、右:油のサイズ分布)
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