医薬品のためのin-situ同時DSC-湿度-粉末X線回折測定
医薬品サンプルのためのXRD-DSC-HUM同時測定
有機材料全般、特に医薬品の有効成分は、複数の分析手法を組み合わせることで、様々な特性の評価を行います。中でも、粉末X線回折(XRD)は多形の構造特性評価におけるゴールドスタンダードであり、熱分析は異なる固体形態間の熱力学的関係に関する情報を提供します。
リガクのX-ray DSCアタッチメントは、XRD装置に動的走査熱量測定(DSC)を組み合わせることで、固体形態と熱力学変化のリアルタイム測定が可能です。このアタッチメントは、温度と湿度をコントロールすることができ、サンプルの相転移に関する豊富な情報を得ることができます。
X-ray DSCは、SmartLab XEまたはSmartLab SEに対応し、使用する検出器に応じて0D、1D、または2Dのデータ取得が可能です。測定・解析システムは、装置およびSmartLab Studio IIソフトウェアに完全統合されており、SmartLab Studio II上で温湿度条件の設定および実行が可能です。DSCおよびXRDデータは、SmartLab Studio IIのER/ES(電子記録および電子署名)プラグインによって監視・追跡され、21 CFR part 11(電子記録および電子署名)に準拠しています。
SmartLabに取り付けられたDSCアタッチメント
X-ray DSCアタッチメントについて
X-ray DSCには、リファレンスとサンプルの2つのパンがあり、試料の比熱は熱流束法を利用して測定されます。長方形のアルミニウムパンは平らで開いており、各辺は約7mmです。各パンは厚さ約0.2mmの「U」字型で良好な熱伝導率を提供し、約4mgの有機粉末試料を充填することができます。サンプル温度は、常温から最大350℃まで加熱でき、オプションの低温サーキュレータを使用すれば、-40℃まで下げることができます。チャンバー内は、乾燥Airまたは乾燥N2(最大流量200mL/min)を流しながら制御されます。また、HUM-SLユニットを使用すれば、相対湿度5~95% RHの湿潤空気環境下での測定も可能です。
サンプルの測定角度範囲は2θ=2.0~50.0°であり、有機材料の測定に最適化されています。
試料とレファレンスを載せた状態のDSCアタッチメント
制御および測定条件
X-ray DSCの温湿度制御およびそのモニタリングは、SmartLab Studio II内のXRD Measurementプラグインに組み込まれています。これにより、温湿度制御がスムーズになり、XRD測定とシームレスに同期させることが可能です。
SmartLab Studio II内のXRDとDSC条件
データ表示および解析ソフトウェア
DSCデータとXRDデータは、1つのデータセットとして相互的に表示および処理でき、詳細な分析を行いたい場合は1つのデータに対して解析を行うことも可能です。図のようなデータセットの表示は、固体形態の変化とそれに伴う熱力学的な挙動を視覚的に捉えることができます。
XRDとDSCのデータ表示例
XRDデータでハイライトされたプロファイルは、温度変化に対する固体形態変化を示し、DSCデータと合わせて確認することでそれぞれの変化の熱的挙動の解釈も可能です。
XRD-DSC同時測定の相互解析
XRD-DSCプラグインは、XRDおよびDSCデータそれぞれに対する解析手法がサポートされており、時間経過に対するピーク強度の変化や二次元プロファイルの変化も確認することができます。
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