STA(TG-DSC)
示差熱-熱重量同時分析、TG-DTAは、試料の熱的挙動と質量変化を同時に測定する熱分析です。この手法は、材料の熱安定性、組成、反応性を詳細に評価するため、研究開発や品質管理の現場で広く活用されています。なお、TG-DTAは、海外ではSTA(Simultaneous Thermal Analysis)と呼ぶことが主流であり、最近では国内においてもこの呼称が増えています。
TG(熱重量分析)は、試料の温度をコントロールしながらその質量変化を測定する手法です。一方、DTA(示差熱分析)は、試料と参照試料の温度差を測定し、吸熱・発熱反応を検出します。TG-DTAでは、これらの測定を同時に行うことで、質量変化と熱的変化を相関させて解析することが可能です。試料容器に粉末、フィルムなどの固体、もしくは液体を導入し、窒素(N₂)、や空気(Air)など、多様な雰囲気で加熱することで、融解、結晶化、ガラス転移、硬化、昇華、蒸発、脱水、熱分解、酸化・還元反応など、さまざまな熱的現象を詳細に解析できます。
TG-DTAは、新素材の特性評価やプロセス開発において、材料の熱的挙動を詳細に理解するために使用されます。また製品の品質を確保するために、製造工程での材料の熱的挙動を監視・評価します。JISやISOなどの規格に基づく材料評価や試験においてもTG-DTAが活用されます。具体的には、
①ゴム材料の分析:ゴム中のカーボンブラックの定量や組成比率の評価が可能です。②ポリマーの耐熱性:ポリエチレン(PE)などのポリマーの融解温度や分解挙動を測定し、材料特性を評価します。
③無機材料の熱挙動:セラミックや金属材料の相転移や酸化・還元挙動を評価します。
この他にも多数の応用事例があり、TG-DTAは材料の熱的特性を深く理解するための強力なツールです。その高い分析能力は、研究開発から品質管理まで、さまざまな分野での活用が期待されています。

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