DSC

 示差走査熱量測定、DSCは物質が温度の変化に対してどのように反応するかを測定するものです。特に物質の相転移や化学反応など、温度に伴うエネルギー変化を精密に捉えることができます。DSCは、試料と参照試料(レファレンス、測定温度範囲で変化しない物質、通常はα-アルミナを使用)を同じ温度環境下で加熱または冷却し、その温度変化に対するエネルギーの差異を測定します。例えば、以下のような特性を評価できます。

  • 相転移(融解・結晶化): 物質が結晶から液体、または液体から結晶に変わる際に吸収または放出される熱量を測定できます。融点を正確に把握することができます。
  • ガラス転移温度(Tg: 高分子材料などのガラス転移を観察できます。ガラス転移温度は、物質がガラス状態からゴム状態に変わる温度で、特にプラスチックやポリマーの特性を理解するために重要です。
  • 化学反応の評価: 物質が反応中に放出または吸収する熱を測定することが可能です。これにより、反応速度や反応のエネルギー的な特性を評価できます。
  • 比熱測定:物質の比熱を測定できます。比熱は材料の加熱、冷却のしやすさを示す基本的な熱物性であり、幅広い分野でDSCによる比熱測定が利用されています。

 DSCは、材料科学、化学工業、薬品開発、食品業界など、さまざまな分野で活用されています。例えば、製薬業界では新薬の開発において、その物質の熱的安定性を確認するために用いられます。また、ポリマーやプラスチックなどの材料開発において、ガラス転移温度や融点の測定を通じて、製品の性能を最適化するためのデータを提供します。

 DSCは、物質の熱的性質を定量的に測定できる強力なツールであり、材料の開発や品質管理において重要な役割を果たします。試料の熱的変化を高精度で捉え、相転移、化学反応、熱安定性などを詳細に解析できるため、さまざまな業界で幅広い用途があります。 

Techniques_DSC

アプリケーションノート

以下のアプリケーションノートは、この分析手法に関連しています。

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