NEX QC+による リン鉱石の分析
はじめに
リン鉱石(リン酸塩、亜リン酸塩)はリンが高濃度の粘土堆積物から採掘され、処理後に肥料などに使用されます。従って、求められる物理的、化学的特性を保つ為に、採石場および製造工程の双方で、五酸化二リン(P2O5)や酸化マグネシウム(MgO)、さらには酸化カルシウム(CaO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化鉄(Fe2O3)といった主成分の含有率を正確にモニタリングすることは非常に重要です。エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX QC+(ネックス・キューシープラス)は、シンプルな操作で簡単にリン鉱石中の主成分を分析でき、最小限のコストで信頼性の高い品質管理を行うことができます。また、操作の簡便なタッチパネル方式のため、初心者のユーザーでも容易にその場分析を行うことができます。今回はリン鉱石中のP2O5、MgOおよび主成分の分析例を紹介します。
図1 NEX-QC+
また、タッチパネルの代わりに制御パソコンが付属したタイプ(NEX QC+ QuantEZ)もあります。
分析結果
リン鉱石中主成分の定量分析
標準物質7点を用いて検量線を作成しました。P2O5,MgOにつきまして、試料の「標準値」と作成した検量線による「測定値」を表1、相関図を図2,3に示します。またCaO、Fe2O3、Al2O3、SiO2の検量線作成結果のまとめを表2に示します。検量線作成には、ホウ酸試料のデータを用いて各試料のバックグラウンド強度を自動的に補正する特殊バックグラウンド補正を行っています。
表1 P2O5、MgO の分析結果
図2 P2O5の標準値と測定値の相関図
図3 MgOの標準値と測定値の相関図
表2 CaO, Fe2O3, Al2O3, SiO2の分析結果
標準物質のうち、3点について、単純10回繰り返し測定を行い、再現性を確認しました。結果を表3に示します。いずれも良好な再現性が得られています。
表3 リン鉱石中主成分の再現性確認結果
(a)試料“SARM 32”
(b)試料“GPO-17”
まとめ
NEX QC+を用いてリン鉱石中主成分の分析を簡便・迅速に行えることを確認しました。NEX QC+は小型サイズながらも低コストで高精度な分析ができ、採掘現場でのスクリーニング分析に加え、製造工程の品質管理分析にも対応できる非常に有用な装置です。