NEX QC+による 活性炭中硫黄(S)、塩素(Cl)の分析
はじめに
活性炭は、水やガスの浄化、脱カフェイン、ガスマスク空気フィルタ、金やその他金属の抽出処理および下水処理などにおけるろ過材および吸収剤として、幅広く利用されています。硫黄及び塩素は木炭中に天然に存在するほか、活性炭の製造および再生工程において使用される溶媒にも含まれます。その処理工程において、硫黄や塩素濃度は、許容含有量に達するまでモニターされます。
この処理工程に対して、エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX QC+(ネックス・キューシー・プラス)は、シンプルな操作で簡単に素早く硫黄、塩素の濃度を分析でき、最小限のコストで信頼性の高い品質管理を行うことができます。NEX QC+の操作は簡便なタッチパネル方式で、活性炭の処理工程・リサイクル工程における品質管理において、分析初心者が使用することも可能です。今回は活性炭中硫黄、塩素の分析例を紹介します。
図1 NEX-QC
また、タッチパネルの代わりに制御パソコンが付属したタイプ(NEX QC+ QuantEZ)もあります。
分析結果
(1) 活性炭中硫黄(S)、塩素(Cl)の分析結果
標準値が得られている活性炭試料7点を用いて硫黄、塩素の検量線を作成しました。試料の「標準値」と作成した検量線による「測定値」を表1、相関図を図2、3に示します。試料中の鉄(Fe)によるS-Kα線、Cl-Kα線への吸収励起効果を補正するため、Fe-Kα線も測定しています。リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)などの成分についても標準試料があれば、補正を行うことで、より正確度の良好な検量線を作成することができます。
表1 活性炭中硫黄、塩素の分析結果
図2 標準値と測定値の相関図 (活性炭中硫黄)
図3 標準値と測定値の相関図 (活性炭中塩素)
再現性確認結果
標準物質のうち、低濃度の試料“Standard1”と高濃度の試料“Standard2”の2点について、単純10回繰り返し測定を行い、再現性を確認しました。結果を表2にまとめます。いずれも変動係数が1%以下と、非常に良好な再現性が得られています。再現性と検出下限は測定時間を長くすることで改善することができます。
表2 活性炭試料分析時の再現性確認結果
まとめ
NEX QC+を用いて活性炭中の硫黄、塩素の分析を簡便・迅速に行えることを確認しました。NEX QC+は低コストで高精度な分析ができ、活性炭中の硫黄、塩素の分析に最適な装置です。また、適切な標準試料があれば、その他の成分についても管理分析が可能です。