NEX QC による オイル中硫黄(S)、塩素(Cl)の分析
はじめに
原油、切削油、廃油などのオイルや石油製品に含まれる硫黄、塩素の量を分析・管理することは重要です。例えば原油中に塩素はもともと存在したり、プロセス内で混入する可能性があります。この塩素の管理を怠ると、原油配合時における硫黄の測定誤差の原因となったり、精製装置を損傷させる可能性があります。切削油の効果と潤滑性は、硫黄と塩素量のバランスに因りますが、適切な含有率に調整しなければ、切削工具や機械が損傷する可能性があります。廃油はリサイクル潤滑油、または工業用炉で二次燃料として使用することができます。このような試料に対して、エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX QC(ネックス・キューシー)は、シンプルな操作で簡単に硫黄、塩素などの濃度を分析でき、最小限のコストで信頼性の高い品質管理を行うことができます。
今回はオイル中硫黄、塩素の分析を紹介します。原油、切削油、廃油、高塩素含有オイルの分析に適用できます。
図1 NEX-QC
分析結果
(1) オイル中硫黄(S)、塩素(Cl)の分析結果
認証値付きのオイル標準試料12点を用いて硫黄、塩素の検量線を作成しました。試料の「標準値」と作成した検量線による「測定値」を表1、相関図を図2、図3に示します。
表1 オイル中硫黄、塩素の分析結果
図2 標準値と測定値の相関図 (オイル中硫黄)
図3 標準値と測定値の相関図 (オイル中塩素)
再現性確認結果
標準物質のうち2点について、単純10回繰り返し測定を行い、再現性を確認しました。結果を表3にまとめます。いずれも変動係数が1%以下と、非常に良好な再現性が得られています。
表3 オイル試料分析時の再現性確認結果
まとめ
NEX QCを用いてオイル中の硫黄、塩素の分析を簡便・迅速に行えることを確認しました。NEX QCは低コストで高精度な分析ができ、原油、切削油、使用済み油等の分析に最適な装置です。