NEX QC による IPBC 木材処理薬液の分析
はじめに
木材の防腐処理は菌類、害虫、紫外線ダメージや磨耗などから木材を保護するために行われます。IPBC(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイト)処理は、木材や最終製品の塗装を変色しないため、木製の窓枠などに用いられます。防腐処理を行う際、高品質を保ち、かつ無駄なく余分なコストを最低限に留めるために、処理薬液の濃度を監視しておく必要があります。IPBC処理薬液については、液中に含まれるヨウ素の濃度がモニターされています。エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX QC(ネックス・キューシー)は、シンプルな操作で簡単にこれらの成分の濃度を分析でき、最小限のコストで信頼性の高い品質管理を行うことができます。今回はIPBC処理薬液の分析について紹介します。
図1 NEX-QC
分析結果
(1)IPBC処理薬液の分析
標準値のある処理薬液試料7点を用いて、IPBCの検量線を作成しました。測定時間は100秒です。試料の「標準値」と作成した検量線による「測定値」を表1、相関図を図2に示します。
表1 IPBC処理薬液の分析結果
図2 標準値と測定値の相関図(IPBC処理薬液)
(2)IPBC処理薬液分析の再現性確認結果
標準物質のうち、濃度の低い試料と高い試料の2点について、単純10回繰り返し測定を行い、再現性を確認した結果を表2にまとめます。いずれも変動係数が0.2%と、非常に良好な再現性が得られています。
表2 IPBC処理薬液の再現性確認結果
まとめ
NEX QCを用いてIPBC処理液の分析を簡便・迅速に行えることを確認しました。NEX QCは50 kVの高励起電圧によりI -Kα線を効率よく測定できるため、ヨウ素の分析に最適な装置です。 NEX QCは低コストで高精度な分析ができ、現場でのスクリーニング分析に加え、製品の品質保証、品質管理分析にも対応できる非常に有用な装置です。