NEX QC、NEX QC+による アルミ板上のチタン(Ti)化成処理皮膜の分析

Application Note XRF3030

NEX QC、NEX QC+によるアルミ板上のチタン(Ti)化成処理皮膜の分析

はじめに

多くのアルミ板や鋼板は、酸化や腐食を防止するための化成処理が施され、表面を不動態化します。化成処理皮膜には、手法により異なりますがCr、Ti、V、Mn、Ni、Zrなどが含まれます。また、切削工具やプレス機の磨耗を最小限にするために、リン酸塩による被膜が施されることがあります。飛行機部品や窓枠など、風雨に曝される場所で利用されるアルミ材にも、この化成処理が施されます。鋼板につきましても、自動車用鋼板は通常、亜鉛めっきを施した後に化成処理が行われます。化成処理された鋼板もまた、屋外の小屋などの風化しやすい場所で利用されています。化成処理皮膜は製品に施された塗装の保持効果もあります。エネルギー分散型蛍光X線分析装置 NEX QC(ネックス・キューシー)およびNEX QC+(ネックス・キューシー・プラス)は単純な操作で簡単に各種化成処理皮膜の付着量分析ができ、低コストで信頼性の高い品質管理を行うことができます。
今回はNEX QCおよびNEX QC+によるアルミ板上のチタン化成処理皮膜の付着量分析について紹介します。

800x610 NEX QC+ (S in Crude screen)_picture_2020.06.25

図1 NEX QC

分析結果

 標準物質6点を用いてチタン付着量の検量線を作成しました。試料の「標準値」と作成した検量線による「測定値」を表1、表2に、相関図を図2、図3に示します。この検量線では、化成処理前のブランク試料のバックグラウンド強度を用いた補正を行っております。NEX QC、NEX QC+とも良好な結果が得られています。

表1 Ti付着量の分析結果(NEX QC)

Ti付着量の分析結果(NEX QC)

Ti付着量の標準値と測定値の相関図(NEX QC)

図2 Ti付着量の標準値と測定値の相関図(NEX QC)

表2 Ti付着量の分析結果(NEX QC+)

Ti付着量の分析結果(NEX QC+)

Ti付着量の標準値と測定値の相関図(NEX QC+)

図3 Ti付着量の標準値と測定値の相関図(NEX QC+)

また、標準物質のうち3点について、単純10回繰り返し測定を行い、再現性を確認した結果を表3にまとめます。検出器がSDDのNEX QC+の方が、優れた再現性を示していることがわかります。

表3 Ti付着量分析の再現性確認結果
(a) NEX QC

Ti付着量分析の再現性確認結果(a) NEX QC

(b) NEX QC+

Ti付着量分析の再現性確認結果(b) NEX QC+

まとめ

NEX QC、NEX QC+を用いてアルミ板上のチタン化成処理皮膜のチタン付着量分析を簡便・迅速に行えることを確認しました。これらの装置は、ともに小型サイズながらも低コストで高精度な皮膜の付着量管理分析が可能です。

お問合せ

製品選びから据付後の技術サービスまで、何でもお気軽にお問合せください。