波長分散小型蛍光X線分析装置Supermini200 ~石油コークス微粒粉末のヘリウムガスレス測定~
Application Note
B-XRF1016
はじめに
石油の精製過程の最終残渣である石油コークスは脱硫後、燃料として利用されていますが、環境保護のため有害元素含有量の管理が必要です。 石油コークスは粒子が細かく加圧成形が困難なため、通常ルースパウダー法(測定面にフィルムを張った試料セルに粉末試料を充填する調製方法)で測定します。
ルースパウダー法で調製した試料を波長分散蛍光X線分析装置で測定するには、真空引きまたは測定後の大気導入による微粒粉末の飛散を防ぐため、試料室をヘリウムガスで置換する必要があります。 しかし、近年のヘリウムガス供給不足の影響でヘリウムガスを用いた分析が困難になりつつあります。
測定・解析例
波長分散小型蛍光X線分析装置Supermini200の大気/真空雰囲気測定機能では試料室を大気、その他の光学系を真空雰囲気下で測定するため、ヘリウムガスレスで液体試料や成型しない粉末試料の分析が可能です。このときの測定可能元素範囲は14Si~96Cmです。 ここでは石油コークス中の有害元素分析を実施した例を紹介します。試料調製は、測定面に試料フィルムを張った試料セルに石油コークス粉末を入れ(図1)蓋をしました。調製後の検量線用試料6点をSupermini200で測定し、硫黄、カルシウム、バナジウム、鉄、ニッケルの5元素について検量線を作成しました。代表元素として硫黄、バナジウムの検量線(マトリックス補正適用)を示します(図2-3)。それぞれの検量線正確度は硫黄で490 ppm(濃度範囲~50000 ppm)、バナジウムで9.3 ppm(濃度範囲~600 ppm)と良好な結果が得られました。
推奨装置とソフトウェア
- 波長分散小型蛍光X線分析装置 Supermini200