TG-DTA/GC-MS 測定によるコーヒー中のカフェイン
はじめに
コーヒーにはカフェインが含まれており、その効果としては覚醒作用、鎮痛作用、疲労回復効果、利尿作用などがあります。ただし、摂りすぎると中毒や体に害を及ぼすことが分かっています。特に妊娠中や授乳中の女性はカフェインの摂取量に気をつけている方が多く、また妊婦中・授乳中以外にも体質や健康上の理由からカフェインを控えている方はノンカフェインやカフェインレスの飲み物を選択されています。最近では、コーヒー中のカフェインを90%以上カットしたカフェインレスコーヒー(デカフェとも言われます)も多くみられるようになりました。
インスタントコーヒーで一般的なものとカフェインレスのタイプをTG-DTA/GC-MSを用いて測定しました。
測定・解析例
一般的なインスタントコーヒーとカフェインレスのインスタントコーヒーをTG-DTA/GC-MSにて測定しました。
試料量は1mg、He雰囲気中にて20℃/minで昇温し、200~280℃の温度範囲で発生するガスを捕集(液体窒素によるコールドトラップ)し、その後GCの昇温プログラムにより加熱して発生したガスをEI法で測定しました。
図1にそれぞれのTG結果、図2に200℃~280℃でトラップしたガスのトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示します。TG結果では分解挙動に差はないことがわかります。また、TICにおいてはコーヒーに含まれる成分が多数検出されていますがピーク形状や強度がほぼ類似していることから分解するガス種においても一般的なコーヒーとカフェインレスコーヒーは同じであることがわかります。しかしながら、14min付近のカフェインのピークについてはピークの強度に明瞭な違いがみられ、カフェインレスコーヒーの方が強度は低いことから、一般的なコーヒーに比べてカフェインレスコーヒーに含まれるカフェイン量は少ないことが分かります。
このように、熱分解によって複数のガスが発生する場合、TG-DTA/GC-MSでは発生ガスを一旦コールドトラップし、その後GCにて分離することで発生したガス種を個別に定性することができ、ガス成分の違いについて詳細に比べることが可能です。
図1 コーヒーおよびカフェインレスコーヒーのTG
図2 コーヒーおよびカフェインレスコーヒーのTIC
推奨装置・推奨ソフトウェア
- TG-DTA8122および1ch MS-IF、GC/MS
- Thermo plus EVO2ソフトウェア